ナガオカケンメイ
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LONG LIFE DESIGN

D&DEPARTMENT PROJECT代表取締役会長 d design travel編集長
1965年北海道生まれ。日本デザインセンター原デザイン研究所を経て、2000年東京世田谷にロングライフデザインをテーマとしたストアインフラをイメージした新業態「D&DEPARTMENT PROJEC」を開始。現在、大阪、鹿児島、札幌、静岡、沖縄など6店舗で展開し47店舗を目指す。同時にデザイナー目線で一人称で書くトラベル誌「d design travel」を同じく47都道府県分を取材、執筆、発行。日本企業の創業の原点を見直すブランド「60 VISION」はカリモク、アデリアなど12社と展開中。2011年から渋谷ヒカリエ8/のフロアディレクションと同時に、上記したプロジェクトの総本山的な場所「d47」を開始。ストア、ミュージアム、食堂を展開。ロングライフデザインを別角度から見て、Comme des garconsとのコラボストア「GOOD DESIGN SHOP」も表参道にて展開中。




日本じゅうに出来ている旅館ホテルに疑問。

ある県のとある旅館に泊まった。1年前に建てられた真新しいホテルスタイルの旅館。最近、全国的にこういう旅館ホテルが本当に多い。どうしてこういう宿が出来てしまうか。それは簡単だ。宿の主人にセンスがないからだ。建設会社や都会のコンサルティング会社にコンセプトやデザインを依頼。オペレーションやリネンサービスなどもサービス会社に依頼。その愛のなさは、全国を旅して廻っている人になら一瞬でわかる。
館内は住宅にも使われる新建材。木部は3メートルも近づけばプリントだとわかる。木目のプリントは全てを否定しない。絶対にあり得ないところに木目を使いたければ、それでもいいと思う。(本当は大嫌いですが・・・) 木目のプリントを使うことは、どこか合成着色料の何かを口にし続けることと似ていると思う。それに慣れてくると、何も感じなくなる。おそらく、現代人の多くは、もう慣れっこになっている。六本木ヒルズなどの内装の一部にプリントされた木目が使われたことなどで、それがおしゃれだとなったのだろうけれど、その人工的な自然に対して、もはや感覚が狂っている。
住宅にも使うような新建材で内外装を覆い、夕食も朝食も気を使っているのはオペレーション。肝心な味や器、盛りつけは超無難で、よくも悪くもない。部屋には露天風呂。薄型テレビ、ウォシュレット、エアコンと快適だ。
なるべく手入れをしなくて済む、なるべく安全で、なるべく長持ちする。それはやはり食品に似ている。
ターゲットはファミリーと若いカップル。価格も徹底的に計算されて出されている。だから、無駄な風情は人口の木目でいいということになる。

こんな宿に泊まって、何になるだろう。まったくその土地に関係のない世界。一歩も外に出さないように、各部屋に露天風呂やバー、ライブラリーを完備。バランスよく泊まって、風呂に入って、食事するための施設。そこにデザイナーによるロゴマークやWebデザイン・・・・・。なにかが間違っている。こんな宿に泊まっていたら、感覚が狂ってしまう。

ある程度の客室を持たせて、今という時代に旅館を作るとなると、こういう選択肢しかないのかもしれない。今更、静岡の山養荘のような総数寄屋造りの全平屋という訳にもいかない。学校が高層ビル化していくような事情で、宿は効率化、完全化、わかりやすい快適さを考えると、そうなるのかもしれない。
僕は昔のプリンスホテルが好きだ。効率化を考えながら、建築家の創意があったし、意識高き空間デザイナーの選ぶ照明や家具には今でも驚きがある。
今後d design travelで、こういうホテル旅館は絶対に選ばない。そこには日本人が持っている風情を感じる仕掛けがないからだ。


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